この講座では、化粧品を販売するうえで、その規制対象となる薬機法(旧薬事法)を遵守するために必要な事柄を、解説していきます。まずは、薬機法における「化粧品」「医薬部外品」「雑貨」の違い、つまり大前提となる部分から解説していこうと思います。
化粧品とは、体を清潔にしたり、見た目を美しくしたりする目的で、皮膚等に塗布等するもので、作用の緩和なものをいいます。
例えば、基礎化粧品メーキャップ化粧品、ヘアトニック、香水、歯磨き、シャンプー、リンス、ボディ石けんといった、
いわゆる“トイレタリー製品”が該当します。
一方、形状や使用方法の似ている薬用化粧品というものもあります。
薬用化粧品というものは、薬機法上では、化粧品ではなく医薬部外品となり、
承認を受けた範囲で、薬理的作用(薬効)を標榜することができます。
化粧品なのにもかかわらず、化粧品の基準を逸脱しているものや、決められた表現以上の効能効果を謳っているものは、化粧品と認められず、薬機法違反となります。
また、化粧品にも、医薬部外品にも入らないものは、雑品(雑貨)となります。ですが商品カテゴリによっては、化粧品、薬用化粧品、雑貨のそれぞれが存在する場合もあります。
今回は身近なの商品カテゴリで、化粧品、薬用化粧品、雑貨における表現の違いをみていきたいと思います。
■石けん
【化粧品】
(汚れを落とすことにより)皮膚を清浄にする
皮膚をすこやかに保つ 等
【薬用化粧品】
≪殺菌剤主剤のもの≫
皮膚の清浄・殺菌・消毒。
体臭・汗臭及びにきびを防ぐ 等
≪消炎剤主剤のもの≫
皮膚の清浄、にきび、剃刀まけ及び肌荒れを防ぐ等
【雑貨】
顔、身体用のものは不可。
台所用石けんや洗濯用石けんに限ります。
■入浴用品(入浴剤)
【化粧品】
皮膚にうるおいを与える
皮膚を保護する 等
【薬用化粧品】
あせも、肩こり、神経痛、疲労回復、腰痛、冷え症 等
【雑貨】
色・香りを楽しむもの。
※雑貨として入浴用品を販売することはできますが、皮膚に対する作用は標榜できません。
■洗髪用品
【化粧品】
≪シャンプー≫
頭皮、毛髪を清浄にする
毛髪にはり、こしを与える
ふけ・かゆみがとれる/抑える 等
≪リンス≫
毛髪の水分、油分を補い保つ
頭皮、毛髪にうるおいを与える/保つ 等
【薬用化粧品】
化粧品の範囲に加えて、育毛、薄毛・脱毛の予防、発毛の促進、病後・産後の脱毛、養毛 等
■染毛用のもの
【化粧品】
染毛料(毛髪を単に物理的に着色するもの)
ヘアマニキュア、カラーリンス、カラートリートメント
【薬用化粧品】
染毛剤(一旦染まると、色持ちが長期的に持続するもの)
ヘアカラー、白髪染め
【雑貨】
不可
※化粧品の場合は、ヘアカラー、白髪染めといった表現は 基本不可とされています。
■除毛用のもの
【化粧品】
不可
【薬用化粧品】
除毛
【雑貨】
不可
※化粧品の場合、除毛・脱毛効果の標榜は不可です。
(物理的に作用するテープ類は除く)
また、薬用化粧品の場合は、脱毛効果の標榜は不可です。
(物理的に作用するテープ類は除く)
■化粧水
【化粧品】
肌荒れを防ぐ
皮膚の水分、油分を補い保つ
肌のキメを整える 等
【薬用化粧品】
あせも・しもやけ・にきび・ひび・あかぎれを防ぐ
かみそりまけを防ぐ
日やけ・雪やけ後のほてりを防ぐ
日やけ・雪やけによる肌荒れを防ぐ
油性肌 等
【雑貨】
不可
■ひげそり用のもの
【化粧品】
ひげを剃りやすくする
ひげ剃り後の肌を整える 等
【薬用化粧品】
かみそりまけを防ぐ
皮膚を保護し、ひげを剃りやすくする 等
【雑貨】
不可
■歯磨き用のもの
【化粧品】
虫歯を防ぐ(使用時にブラッシングを行う歯磨き類)
歯を白くする(使用時にブラッシングを行う歯磨き類)
口臭を防ぐ(歯みがき類) 等
【薬用化粧品】
歯周炎(歯槽膿漏)の予防
虫歯の発生および進行の予防
タバコのヤニの除去
【雑貨】
不可
■消臭用のもの
【化粧品】
香りにより毛髪、頭皮の不快臭を抑える
【薬用化粧品】
わきが、制汗、皮膚汗臭 等
【雑貨】
人体に用いるものは不可。
※化粧品の場合は、香りによる臭いのマスキングのみ標榜可能。
雑貨の場合は、人体に用いないものの場合、除菌、抗菌、消臭は表現可能とされています。
但し、特定菌名の提示は、それに関係する病気・疾患の予防となるため不可となります。
商品のカテゴリによって、表現できる範囲も変わりますので、
確認をしてみてください。
次回は、化粧品でみなさまが訴求したい上位ワードでもある
「シミ」「シワ」「くすみ」「たるみ」の考え方についてご案内いたします。