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3分でわかる薬事広告講座ー薬事法広告研究所 

【第5回】化粧品の“無添加”“無着色”等、成分が入っていないことを伝える表現

みなさま、こんにちは。

本日は、化粧品の“無添加”“無着色”等、成分が入っていないことを伝える表現をテーマとして取り上げてみたいと思います。
普段何気なく使っている“無添加”“無着色”の表現ですが、この使い方にもルールがあるのをご存知ですか?

『無添加だから安全』『無着色だから安心』という表現は、『安心』『安全』という言葉がNGだから、使っちゃいけないのは知っているけど、言葉自体の使い方は特に考えたこと無かった…という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

公正取引委員会の「化粧品の表示に関する公正競争規約」 には下記のようなことが書かれております。

『無添加等無配合を意味する用語』
「無添加」、「無配合」、「不使用」等ある種の成分を配合していないことを意味する用語を表示する場合は、何を配合していないかを明示して下記の基準により使用する。
ある種の成分を配合していないことを表示する場合は、当該成分名称を併記する。

(例)パラベン無添加、ノンエタノール

 
ある種の成分群に属する成分すべてを配合していないことを表示する場合は、当該成分群を併記する。

(例)タール色素不使用、紫外線吸収剤無配合、オイルフリー

 
着色剤、防腐剤等を配合していないことを表示する場合は、防腐剤等配合目的を併記する。
ただし、規約第4条第7号の規定に基づく指定成分の表示名称により、当該成分の配合目的について一般消費者に誤認されるおそれがある場合には防腐剤無添加等と表示することができない。

(例)着色剤無添加、防腐剤カット、無香料

※1 タール色素、紫外線吸収剤及び防腐剤として配合される成分は、薬事法に定めるポジテブリストにそれぞれ収載されている成分をいう。
※2 オイルとは、植物性油、動物性油及び鉱物油をいう。


また、医薬品等適正広告基準及び留意事項には、

【基準3(4)】

医薬品等の成分及びその分量又は本質並びに医療機器の原材料、形状、構造及び寸法についての表現の範囲

医薬品等の成分及びその分量又は本質並びに医療機器の原材料、形状、構造及び寸法について虚偽の表現、不正確な表現等を用い効能効果等又は安全性について事実に反する認識を得させるおそれのある広告をしないものとする。

※1 指定成分・香料の未含有表現について( 平成6年一部改正)化粧品及び薬用化粧品において、「肌のトラブルの原因になりがちな指定成分・香料を含有していない。」等の表現は不正確であり、また、それらの成分を含有する製品のひぼうにつながるおそれもあるので、「指定成分、香料を含有していない。」旨の広告にとどめ、「100%無添加」「100%ピュア」等のごとく必要以上に強調しないこと。


また、日本化粧品工業連合会における「化粧品等の適正広告ガイドライン 2008年版」におきましても、

F5.8 特定成分の「無添加」等の未含有表現

特定成分の未含有表現いわゆる「無添加」等の表現については、何を添加していないのか不明であり、不正確な表現となる。
また、医薬品等適正広告基準3(6)の安全性の保証的表現につながるおそれもある。
従って、キャッチフレーズとしては行わないこととするが、ボディー部分(説明部分)において添加していない成分等を明示して、かつ、保証的にならない限りにおいては表現しても差し支えない。
なお、当該成分をキャリーオーバー成分として含有するときには、無添加等の表現はできないので注意すること。

となっており、使ってはいけないといった制限はされておりません。

ただし、条件として

・何を配合していないかを、しっかり明示する
・キャッチコピー等のような形では使わない

ということになります。

皆様ご存知のように、『化粧品には安全性の保証的表現は行ってはいけない』という基本的なルールがあります。
目立たせたり、ただ漠然と「無添加」というだけでは、お客様に誤解を与え、かつ安全性に対しても“無添加だから安全なんです!”ということを暗示しているという解釈になってしまいます。
あくまでも見せ方として、“入っていないという事実を情報を伝える”という程度に留めるということになります。

以前、お客様より質問をいただきました。

Q:「旧指定成分は無添加」という表現は可能ですか?

まず、“旧指定成分”とは何かということですが、以前の旧薬事法では、特定の成分を配合する場合に、その成分の表記をする事が義務付けられていた時代がありました。
この表示する成分は、当時の厚生省に指定されており それが“旧指定成分”となります。

このルールは2001年3月までが適用されており、2001年4月からはこのルールに代わって
“化粧品に配合されている成分すべてを、化粧品容器に表記する”ことが決められました。
これが現在運用されている、全成分表示になります。

旧指定成分は香料を含めて102種類あります。
「旧指定成分は無添加」という事を述べる場合において、もし、具体的に成分を述べるとなると、102種類を全て列挙しなければならないという事になります。

ですが、 「化粧品の表示に関する公正競争規約」にあるように “当該成分群”として丸めて書くのは可能といったところから、“旧指定成分”と表現するのは問題ないのでは、という解釈が、確かにできるかと思います。

しかし、“旧指定成分は無添加”という表現は、一般の方が理解できる表現とは言えず、また、“旧指定成分は無添加”と、あえてそのように書く=安全性の保証と解釈される可能性は否めませんので、『“旧指定成分は無添加”を書いてはいけない』と禁止はされてはいませんが、行政の言葉を借りるのであれば「好ましくない」「ふさわしくない」「避けていただきたい」というものになるかと思います。

 

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薬事法広告研究所 代表 稲留万希子
(運営会社:DCアーキテクト株式会社)
http://www.89ji.com

東京理科大学卒業後、大手医薬品卸会社にて医療従事者向けポータルサイト
の企画運営に従事。東洋医学に興味を抱いたことをきっかけに退職し、
中医学専門学校にて3年間薬膳料理や漢方について学ぶ。
その間、ヘルスケア分野でのビジネス展開には薬事法を避けて通れない
事から、薬事法と広告についても並行して学び、その後、国際中医専門員、
漢方薬膳療術師、反射療法師、薬事法管理者、コスメ薬事法管理者の資格を
取得し独立。
2008年3月、薬事法広告研究所の設立に参画、副代表に就任。
専ら、セミナー講師として活動。

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