今回は、化粧品の広告における体験談について、考えてみたいと思います。
まず最初に…。 広告において、お客様を誘引するキラーコンテンツのひとつは体験談と考えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
また、よくあるのが【体験談はお客様の声そのままだから、何言っても問題ない】という誤解です。勝手に捏造した架空の体験談じゃなければ、内容にかかわらず使用しても良いと思っている方もいらっしゃいます。
残念ながら、本当にお客様が本心から書いてくださった体験談だったとしても、それは広告の一部とみなされます。
化粧品に関しては、医薬品等適正広告基準の中で制限が設けられていますから、何を言っても問題ないというわけにはいかないのです。
では実際に、化粧品の体験談のルールについてみていきましょう。
「医薬品等適正広告基準 基準3の(6)」に下記のような文章があります。
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【基準3(6)】
効能効果等又は安全性を保証する表現の禁止
医薬品等の効能効果又は安全性について、具体的効能効果等又は安全性を摘示して、それが確実である保証をするような表現はしないものとする。
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ここが体験談に大きな影響を及ぼします。
更に具体的に、次のように書かれています。
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(5) 使用体験談等について
愛用者の感謝状、感謝の言葉等の例示及び「私も使っています。」等使用経験又は体験談的広告は、客観的裏付けとはなりえず、かえって消費者に対し医薬品等の効能効果等又は安全性について誤解を与えるおそれがあるので行わないこと。ただし、医薬品(目薬、外皮用剤等)や化粧品等の広告で使用感を説明する場合や、タレントが単に製品の説明や呈示を行う場合は、本項には抵触しない。この場合には、使用感が過度にならないようにすること。
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硬い文章なのでわかりにくいかもしれません。
要約すると、広告における体験談の中で「私も使ってます」等の表現、そして「効能効果に関する表現」を体験談の中で使用するのは不可ということを述べているのです。
化粧品には“表現可能な56の効能効果”が予め決められています。
通常広告において、これら56の効能効果の範囲内であれば表現が可能ではあるのですが、体験談においてはそれすらも表現してはいけないということを意味しています。
例えば、”表現可能な56の効能効果”の中には 「皮膚の乾燥を防ぐ」という効果があります。
本来、例えば美容液の商品説明の中で「乾燥を防ぎます」という事は表現可能ですが、これが体験談として「今まで乾燥に悩まされていたのですが、○○のお陰で肌の乾燥が気にならなくなりました。」という内容を用いてしまうとNGということになります。
では、どういう表現だったら可能なのかということですが、 あくまでも【使用感】までになります。
使用感とは、「いい感じです。」「 ベタつき感がありません。」「使いやすいです。」「においも無く、気になりません。」といったような感想程度のものです。
また、使用方法、使用感の説明である「こういう風に使うといいんです。」 という形であれば使用可能と考えることができます。
そして芸能人を起用して体験談を語ってもらう場合は、影響力が大きいため、特に使用感が過度にならないように注意が必要です。
製品の説明や呈示に留まって いるのであれば問題はありません。
また、よく見る「女優○○さんも愛用!」といったような表現は、「私も使ってます」と同様の表現となるため、NGと判断されてしまうということもぜひ覚えておきましょう。